深刻な人手不足が続く
人手不足が招く介護問題
介護職員の人員数は年々増加傾向にあり、需要の高まりが叫ばれています。しかし、人員確保が十分にされていない現状には、いくつか理由があります。厚生労働省が示した、団塊の世代が75歳以上になる2025年度に必要な介護職員数を注目してみていきましょう。
2025年度に必要な介護人員数は約253万人になると予想されていますが、実際の供給見込みは約215万人に留まっています。このままの現状だと、およそ38万人もの介護職員が不足するという状況になります。介護の人手不足は、大きな問題となっています。また要介護者が増えると同時に介護従事者も増えてきていますが、まだまだ人手不足は解消されていない現状があります。
改善すべき生産年齢人口数
内閣府は「平成27年版少子化社会対策白書」で、高齢者の増加と出生率の低下をデータで表しました。1947年から1949年の第1次ベビーブーム期の出生率は約270万人、1971年から1974年の第2次ベビーブーム期は約210万人でした。その後、1984年には急激に出生率が減少し、150万人を下回りました。1991年以降もやや減少傾向でしたが、生産年齢人口に歯止めはかかっていません。生産年齢人口が減っていくなかで、高齢者は増加するという社会構造は、介護業界にも大きな影響を及ぼします。
同時に介護業界は、雇用があっても定着率が低いことが影響を及ぼしています。しかし、平成26年の介護労働安定センターがおこなった介護労働実態調査では、介護職の離職率は2005年度以降20%を下回っており、企業努力の甲斐あって少しずつ回復傾向にあります。
介護現場への悪影響
各施設の介護職員は、人手不足の現状に直面しています。やはり、低賃金や重労働などのマイナスイメージをもつ人が多い傾向にあります。次いで若者の介護職離れにも拍車をかけています。体力のある新卒者の採用は、介護業界では重要なポイントになります。しかし、現状は人手の確保も厳しく、解決の糸口がなかなかみつかりません。また、現場では人手不足により、従事している人がさらに重労働になり、その結果、離職者も後を絶ちません。
景気回復をしている今だからこそ、この負のスパイラルから抜け出し、チャンスを逃さないように動き出す必要があるのです。今後は、介護業界に「ICT」を導入し、介護職員の負担を軽減することも必要なのではないでしょうか。深刻な職場環境の改善には、このような面からのサポートも重要になるのです。
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