ICTを活用する介護の現場

介護現場を支える2021年度の介護報酬改定について

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2021年度「介護報酬改定」によって変わる介護の現場

2021年度介護報酬改定における注目ポイント

介護報酬改定に向けて2020年3月に行われた会合では、以下4つの議題が取り上げられました。


 1.地域包括ケアシステムの推進
 2.⾃⽴⽀援・重度化防⽌の推進
 3.介護⼈材の確保・介護現場の革新
 4.制度の安定性・持続可能性の確保

また、「介護人材の確保定着」と「アウトカム評価」への声も上がったとされています。
上記の4つの議題は2018年度にも上がった議題でもありますが、2021年~2023年の3年間に迎えるであろう75歳以上の後期高齢者問題に焦点をあてている点も注目すべきポイントです。今後、急速に介護のニーズが高まってくることで、介護報酬の面でどのように介護業界をサポートしていくのか大きな期待が寄せられています。
さらに先の2025年~2040年までを見据えた「高齢者を支える現役世代の減少」のことも視野に入れて今回の介護報酬改定をおこなうことが、将来の基盤になるともいわれています。介護現場の人材確保においては、職員の給与アップや処遇の改善などの革新が求められており、さらなる議論が必要とされているようです。また、介護職員の離職ゼロへの取り組みにも注目しており、その基盤づくりの推進も検討されています。
2018年に要介護度の改善として取り上げられた「ADL維持等加算」の支援として心身機能のアウトカム評価が創設されました。改定から3年の間に得られたADL維持等加算の効果を検証して見直すことも今回の改定で検討されるのではないかと注目されています。介護報酬の体系に関する問題では、複雑化してきていることを懸念して、2021年の改定に向けて介護報酬体系の簡素化や加算の新設・細分化の必要性も唱えられています。
これらの議題が形となり、人材の確保と新たな改革が求められている介護業界を2021年度の介護報酬改定で救うことはできるのか目が離せません。

改定前のフレイル対策にも注目!

まず2021年度介護報酬改定前に向けて厚生労働省が推進している「フレイル診断」という対策にも注目が集まっています。フレイル診断は、後期高齢者を対象とした健康チェックのようなものです。評価基準とされる5つの項目のうち3つ以上当てはまる場合にはフレイル(虚弱状態)が進行していると判断されます。該当項目が0の場合が健常とされ、1~2つ該当する場合にはプレフレイルとなり、段階的に要介護度が評価される仕組みです。評価基準とされる5つの項目は以下のとおりです。


  1.体重減少
  2.疲労感
  3.活動量の減少
  4.筋力(握力)の低下
  5.通常歩行速度(身体能力)の減弱

このフレイル診断の実施は、後期高齢者の増加に備えた介護の地域支援事情の取り組みの一つでもあります。介護現場の人材不足は避けては通れない問題でもあるため、少ない人手でいかに質の高い介護提供をおこなうのかということに焦点があてられているのです。必要な人に必要な医療・介護サービスが行き届くように、高齢者へのフレイル診断は重要な役割を担う支援として注目されています。
これらのフレイルを予防するためには、生活習慣病の予防や、運動・認知機能の低下予防、社会的な関わりを持つことが挙げられます。2015年度から神奈川件で開始されたフレイルチェック事業ですが、今では全国各地に展開されてきました。フレイルチェックによる高齢者の虚弱状態を早期に発見し、各地域で健康的なまちづくりに取り組んでいます。
このフレイル対策の取り組みが介護報酬改正にどのような影響を与えるのかも気になるところです。

知っておきたいこと

2021年度介護報酬改定の前に知っておきたいことがあります。 まず把握しておきたいのは「改定スケジュール」についてです。前項でも取り上げましたが、2020年3月に介護報酬改定に向けた会合が開かれています。そのときに提示されたスケジュール案は以下のとおりです。


 2020年秋頃:具体的な方向性の議論
 2020年12月:基本的な考え方の整理・とりまとめ~
 2021年初め:諮問・答申~

これらのスケジュールを経て、第8期介護保険事業計画として2021年度介護報酬改定の法案が提出されます。以上のスケジュール案とは別に、内閣が実施する以下2つのスケジュールも抑えておきたいポイントです。


 Point1.骨太の方針(国の政策の骨子)の決定
 Point2.国の来年度予算(改定率)の決定

骨太の方針は2020年7月半ばに実施される予定となっており、これにより財政・経済政策の基本方針が固められます。さらにそこから細かい部分を決めていく役割を担うのが介護給付費分科会という厚生労働大臣の諮問機関です。分科会では、各自治体の代表が集まり、介護報酬改定の内容について議論します。2020年6月に開かれた第177回社会保証審議会介護給付費分科会では、主に以下の議題が取り上げられました。


 1.2018年度の介護報酬改定に関する効果の検証および調査研究の調査結果について
 2.2021年度の介護報酬改定に向けた地域包括ケアシステムの推進について
 3.福祉用具貸与の価格上限設定について
 4.介護保険による新型コロナウイルス感染症への対応について(報告)

これらの情報を把握しておくことで、来たる2021年度介護報酬改定に備えた介護現場の今後の指針を定めることができるでしょう。

「ICT」導入でどう変わる?

医療や介護、教育の現場での活用が期待されている「ICT」は、さらなる普及が予想されています。介護の現場では、高齢者を見守るシステムとして使われており、業界の人手不足解消にも役立てていきたい考えです。また、厚生労働省においても、介護現場でのICT化が推進されており、居宅サービス事業所でのICT機器・ソフトウェアの導入やサービス提供事業所での情報連携などでの活用が視野に入れられています。 実際にICT化すると、介護現場にはどのような変化がもたらされるのでしょうか。
まず挙げられるのは業務の効率化です。少子高齢化により、今後ますます人手不足が問題視されている介護業界では、人材の確保が最大のテーマでもあります。団塊の世代が高齢化を迎える2025年頃には、介護難民があふれてしまうのではないかと危惧されてきました。その状況を回避するためにも、介護現場の人材確保は第一に対応しなければならない対策なのです。しかし、まだまだ日本でのICT活用率は低いため、早急な導入が課題とされています。
介護業界にICTを導入することで得られるメリットは、業務効率化以外に、ストレスの軽減や科学的介護の実現、生産性の向上、コミュニケーションの活性化などです。なによりもまずICT化によって事務作業の軽減を図ることができます。記録作業など、手間のかかっていた業務をICT化することで、訪問先からスマートフォンを使って介護記録を入力したり、タブレットを活用して次の訪問先の情報をチェックできるようになるなど、効率的に仕事を進めることが可能になるのです。
また、他にも間接的にメリットとなることがあります。たとえば、介護職からの離職の低下や若手人材の確保、ケアの質の向上などです。メリットは豊富にありますが、ICT化の導入を実現させるためには、導入コストの確保やスタッフへのICT機器の教育、情報漏えいのリスクといった問題も立ちはだかっています。課題も多く、ICT化が本格的に導入されるまでは時間を要することでしょう。ですが、一歩一歩近づいているのは確かです。
実際の介護現場では、介護記録システムの「ケアコラボ」や排泄予知デバイスの「DFree」といったICT機器がすでに活用されています。これからも、どんなICT化が実現されていくのか、現場の動きに注目していきましょう。

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